ボイスオーバー回って遊ぶ声

8月 29, 2021

残暑はまだまだ厳しいですが、朝晩は秋の気配を感じるようになりました。

2021年9月18日(土)~11月14日(日)に、滋賀県立美術館において開催されます、リニューアル記念展「ボイスオーバー 回って遊ぶ声」に、塔本シスコの油彩画3点が展示されます。

塔本シスコ

 

塔本シスコ

本展は滋賀県立美術館のコレクション約1800件から選りすぐった作品100点以上を、ジャンルや年代の別なく紹介する、回遊式の美術館を舞台にした展覧会です。

作品をよく見ることは、作品の「声」を聞くことと似ています。その声に耳を澄ますと、思いもよらない作品同士の繋がりが聞こえてくるかもしれません。例えば日付が淡々と描かれた絵画と、とげのある生き物のような陶の作品。室町時代の近江の風景と、オセアニアの楽園。このように、これまで当館では同じ部屋で展示されることがほとんどなかった4分野のコレクション ——近代日本画、郷土美術、現代美術、アール・ブリュット—— を、今回は「声」を聞くことで結んでいきます。

さらに本展に招いた3組のゲストアーティストは、声の聞き方はそれぞれであることを軽やかに示してくれます。緻密かつ大胆なサーチを軸に多様な表現方法を展開する田村友一郎(1977~)は、アンディ・ウォーホルの作品を独自の解釈で捌くことによって、ウォーホルという作家自身のありえるかもしれない像を浮かび上がらせます。「うつす」仕事を通じ、消えゆくものの価値に光を当てる中尾美園(1980〜)は、当館の設立と深いかかわりのある画家・小倉遊亀をテーマに、作品を残すこと/残ることの意味を我々に問いかけます。そして建築家ユニットのドットアーキテクツは、休館中の学芸員たちの活動記録をベースに美術館の意外な景色を提示します。こうした彼ら自身の声もまた、美術館の中に木霊することでしょう。

ボイスオーバーとは、映画などの画面に現れない話者の声を、あるいは元の音声言語に翻訳したもう1つの音声を重ねるナレーションの手法を指す言葉です。こうした声の重ね方は、作品を長く保存し展示する過程で少しずつ新しい意味を見つけて加えていく、美術館の役割そのものともリンクします。美術館とは、作品とそれを見る私たちの声が交わり、調和するのではなく、むしろ鳴り響く場所です。この展覧会が、作品とみなさんの「声」とに満たされる豊かな雑踏になりますように。

会期:2021年9月18日(土)〜11月14日(日)
(※会期中展示替えを行います)

休館日:毎週月曜日。ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌日火曜日が休館。
開館時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)
会場:滋賀県立美術館 展示室1-3、ギャラリー
観覧料:一般 1,200円(1,000円)、高・大生 800円(600円)、小・中生 600円(450円)
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳等をお持ちの方は無料
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芸術の秋にさしかかり、滋賀県立美術館の素晴らしいコレクションと共に過ごす静かな時間を楽しんでいただければ幸いです。ご無理のない範囲でご来場くださいますようお願い申し上げます。(弥)

 

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