稲刈りの想い出
一歩外へ出ると、金木犀の香りに包まれる季節になりました。
ステイホーム期間中の5月頃、今年は田植え中止かな?と心配していた近所の田んぼも、無事に収穫され、ホッと一安心。いつもと変わらぬ風景が今年は特にありがたく感じられます。
さて、本日は塔本シスコが描いた稲刈りのスケッチ画をご紹介します。
100年前、大正時代の稲刈りは手作業です。砥石と水も用意され、準備万端!
「今日はイネカリだ」1994年、紙に色鉛筆、41cm×34cm
稲を干した後には、籾摺り臼で脱穀していたようです。
絵の中に、「コンヤハ、モミスリデス。ヨルハ ネナシデヤリマスノデ タイヘンデス。シスコガ 五才ノトキニ ヤリマシタ」と記してあります。
籾摺りは夜通し行われる重労働だったのですね。
「モミスリ」1994年、紙に色鉛筆、41cm×34cm
シスコは1913年(大正二年)生まれ。5歳なら、1918年の思い出だということがわかります。
先日、シスコの絵と本物の籾摺り臼を見比べたくて、大阪の国立民族博物館を訪れました。
籾摺り臼、発見!
籾摺り臼は現存しているものが少なく、貴重だそうです。
籾摺りで籾穀をはずした後は「唐箕(とうみ)」という農具で風力を起こして穀物を選別します。
絵の中に説明があります。
「モミスリデ、スリワリ シタコメヲ、トミーイト イッタノニイレテ、コメヲ、キレイニシタコメヲ、タワラニ ツメルノデス」
画面右側の男性がハンドルを回して風を作ります。奥の男性が投入口に籾を入れると、軽いものは飛んでいき、重い籾が選別されて出てきます。
画面右側下に描いてある取手が付いた筒状のものは、どうやら俵のようですね!
一俵が4斗、今でいえば60㎏!米を詰めて俵にするのは力と熟練の技が必要だったようです。
「唐箕(トウミ)」1994年、紙に色鉛筆、32cm×41cm
唐箕も国立民族博物館にありました!
使い込まれた古い農具類を見るのは楽しいですね(^^)
シスコは、収穫の季節は「賑やかでお祭りのようだった」と話していました。
時代や農具が変わっても、大変な作業であることには変わりありません。
農家の皆さまに感謝しながら、ピカピカの新米をいただきましょう。(弥)