『幼さという戦略 「かわいい」と成熟の物語作法』

10月 10, 2015

阿部公彦さんの新刊、『幼さという戦略 「かわいい」と成熟の物語作法』の表紙に、塔本シスコが71歳のときに描いた「野しょうぶとつばめ」(1984年)を採用していただきました!装幀は田中久子さんです。朝日新聞出版から、10月9日(金)より発売となります。読書の秋におすすめの一冊です!

幼さという戦略

~内容紹介~

「幼さ」のあふれる現代の日本。漫画のキャラクターから生活小物に至るまで、目につくのは無害で安心感の漂う幼さ、弱さ、かわいさばかり。消費文化の中心は善良な弱者たる個人の欲望で、人々は「幼さ」を社会構造の中で強要されてきたと言える。成熟して「大人」になるというライフサイクルは揺らぎ、大人も老人も生涯を通じ「幼さ」を演ずる。しかし、そんな「幼さ」が自ら声を持って語るとき、独特の魔力をたたえた不思議な磁場が生まれることがある。

本書では太宰治『人間失格』の弱さや村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の依存性に注目しながら「幼さ」特有の心理、美学、思想を確認し、その潜在力をさぐる。谷川俊太郎、武田百合子、ルイス・キャロルに加え、成熟や老いと格闘した江藤淳、古井由吉も題材となる。気鋭の文芸評論家が精緻に幼さの語りの豊かな可能性を探る興味尽きぬエッセイ。

【目次】
序章 支配しようとしない声とは?
第1章 幼さの文化
第2章 太宰治と幼さの技法
第3章 村上春樹とカウンセリング
第4章 「かわいい」の美学
第5章 「かわいい」の境界線
第6章 幼さと逸脱
第7章 幼さの詩学
第8章 幼さと成熟―大塚英志と江藤淳
第9章 老い語りの可能性―小島信夫の場合
第10章 古井由吉の成熟法
終章 老いの中の幼さ

幼さという戦略

塔本シスコ

「野しょうぶとつばめ」1984年 53×65 油彩・キャンバス

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